Skip to main content
Global HR Lawyers

一時帰休スキームが2021年9月まで延長

04 March 2021

政府は全セクターに対する一時帰休スキームについて、2021年9月30日までの延長と、7月1日からの雇用主による拠出の段階的な引き上げを発表しました。

2021年春季予算案において、リシ・スナック財務大臣は、一般的に一時帰休スキームと呼ばれる新型コロナウイルスに関する雇用維持スキームCJRS)を2021930日まで延長することを発表しました。一時帰休スキームは当初2021430日に終了される予定でしたが、延長に対しては幅広い期待がありました。6月末に終了すると予想していた人が多かったため、今般の発表は多くの雇用主にとっては非常に歓迎すべきものとなりました。

2021621日にイングランドの経済再開が予定されていますが、この延長を受けて経済再開の数カ月先までCJRSが継続され、終了までに合計18カ月間も続くことになります。

政府の統計によると、約470万人の従業員が現在一時帰休しています。一時帰休の割合が高いのは宿泊施設および飲食サービスのセクターであり、約115万人の従業員が一時帰休しています。ホールセールと小売のセクターでは、約95万人の従業員が一時帰休になっていますが、ピーク時の20204月にこのセクターの185万人の従業員がスキームに含まれていた時点からは減少しています。

発表内容

一時帰休スキームでは、月2,500ポンドを上限として、従業員の通常給与に対して最高80%の金額が引き続き支払われます。しかし、CJRSの最終ステージでは、支援水準は以下のとおり引き下げられます。

  • 20217月まで政府が引き続き80%全額を支払う。
  • 20217月は雇用主が10%拠出し、政府が70%支払う。
  • 20218月と9月は雇用主が20%拠出し、政府が60%支払う。
  • 雇用主は引き続き全従業員の国民保険および年金の拠出を支払う。

このスキームの延長はあらゆるセクターが対象です。よって、このスキームに依拠しているあらゆる雇用主が利用できるものです。政府は引き続きスキームの申し立てをした企業とLLP名前を公表し、あわせて、その申請額(帯域幅内)に関する示唆も公表します

引き続き柔軟な一時帰休を選択することも可能です。つまり、従業員はパートタイムで勤務しつつ、勤務しなかった時間については一時帰休手当を受け取ることができます。よって雇用主は、経済が再開し事業が軌道に乗っていくにつれて、段階的に従業員を職場に復帰させることができます。

雇用主は20201031日から202132日の間に入社した新入社員についても申し立てできますが、この新入社員の一時帰休は5月以降となります。ただし、202133日以降に採用したあらゆる新入社員についてはスキームの申し立てができないとガイダンスに示されています。この点は重要です。取引環境が突然悪化しても新入社員を一時帰休できないため、採用の決定が一段と微妙な問題になります。

大半の従業員について一時帰休手当はコロナ禍以前の通常の給与水準がベースとなります。一時帰休スキームの施行期間中(20204月と20214月)に、全国最低賃金が2回引き上げられた点に留意することが肝要です。つまり一部の従業員にとっては、一時帰休手当と勤務時間に対する給与の間のギャップが開いてしまうことになります。他方で、給与カットや労働時間カットに同意した従業員にとっては、一時帰休手当が現在の取り決めよりも得になることがあります。

政府はガイダンスを更新し、スキームを20219月まで延長する旨を盛り込みました。

雇用主に対する意味合いは?

一時帰休スキームに頼っている企業にとっては延長は明らかに喜ばしいニュースです。短期的に通常の取引状態に回復することが期待できない中でも、従業員を引き留めておくことができるためです。

しかし雇用主は最低限水準の拠出ができるかどうかよく検討する必要があります。以前、政府は20209月に一時帰休スキームに対して雇用主からの10%の拠出を義務付けました。それに伴ってこのスキームの下での一時帰休の申し立ては大幅に減少しました。10%の拠出が再導入される20217月も同じような状況となるでしょう。雇用主の多くは採用方法を再検討し、業務再編や余剰人員整理を考えるようになるでしょう。(この問題についてのサポートや、今後の不確実性の中での採用については、2021年以降の採用のコンテンツハブをご覧ください)。

一時帰休スキームを利用している企業に対する世間の厳しい見方は引き続き高まっていくと考えられます。政府による助成金から恩恵を受けている企業や、新型コロナウイルス流行中も業績が良好であったと見なされている企業については特に当てはまります。

雇用主が問うべき主な問題

一時帰休スキーム内でのみ存在する仕事に従事している個人を支援するために一時帰休スキームを利用できるのか、また利用すべきはないなのか、といった点が常に問われています。政府はこの問題に関してガイダンスを未だに明らかにしていません。

ロックダウンによる制限が緩和される中で、学校再開をはじめ、職場におけるラテラルフロー検査やワクチン接種に一時帰休スキームがどのように関係してくるのか、新たな議論が生まれると考えられます。例えば次のような点です。

  • 政府は現在、対象となる雇用者に職場におけるラテラルフロー検査を提供するよう推奨しています。検査で陽性となったものの症状の出ていない従業員はどうなるのか、という問題が生まれます。このような従業員を一時帰休させることは現在の一時帰休ガイダンスでは認められていません。一時帰休は短期的な疾病や自主隔離のために使われるべきではないと定められているためです。しかし、思わしくない検査結果のために従業員がシフトを始められなかったり、従業員を帰宅させる必要があったりする場合、企業としてはスケジュール管理の問題に直面します。このような状況では一時帰休中の他の従業員を呼び出して人員を補充する必要が生じます。
  • 雇用主はこのスキームを利用してワクチン接種済みの従業員を現場に戻し、ワクチン未接種の従業員を一時帰休させることができるのでしょうか?
  • 学校が閉鎖されている間一時帰休したいという多くの要望が子供のいる従業員から出ています。202138日にイングランドで学校が再開されるとこのような要望はおそらく減少するでしょうが、子供のいる従業員には依然として子供の世話が問題です。例えば、放課後のクラブ活動や学童保育が通常の状態に戻らなかったり、子供が病気の場合や隔離が必要となったりする場合です。

法定疾病手当の金額を引き上げる計画や、対象となる個人の範囲を拡大する計画はすぐにはなさそうです。雇用主としては足元で自社の傷病手当ポリシーを見直すべきかどうかを検討することになります。

最後に、以前に発表された雇用維持一時金および雇用支援スキーム(一時帰休スキームに続くものとして政府が意図していたもの)は無期限に延長されたようで、導入の可能性は現時点で低いと言えます。

一時帰休スキームの詳細な運営に関するガイダンスについては、当事務所のよくある質問をご覧ください。最新の動向を取り上げています。従業員の一時帰休 - 新型コロナウイルスに関する雇用維持スキームを利用する雇用主のよくある質問

 

Related items

Related services

Back To Top